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少子高齢化が進む現代。2021年の総務省の統計によると、総人口に占める65歳以上の割合は29.1%にものぼります。シニア層の人口増加に伴い、重要性を増しているのが「シニアマーケティング」です。
実際に、シニア層をターゲットにした商品開発やマーケティングを行う企業も増えています。
一方で、「シニアにどんなマーケティングが有効なのか分からない」というお悩みをお持ちの販促担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本記事ではシニアマーケティングのポイントや成功事例を解説します。シニア世代への販売戦略を考える際に、ぜひ参考にしてください。
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もくじ
シニアマーケティングとは
シニアとは、一般的に65歳以上の「高齢者」と呼ばれる男女を指します。しかし、今は「人生100年時代」とも呼ばれる長寿の時代です。一口に「シニア」と言っても、65歳から100歳ほどまで、年齢の幅は30歳ほども開きます。
シニアマーケティングを始める前に、自社がターゲットとするのはどんなシニア層なのか、どの程度の市場規模が期待できるのか、しっかり把握しておきましょう。
拡大するシニア市場
2021年の総務省の統計によると、65歳以上の高齢者人口は3,640万人。人口のほぼ3人に1人がシニアにあたります。
シニア層の人口増加に伴ってシニア向け産業の市場規模は拡大し続けており、みずほ銀行産業調査部の資料によると、2025年までに100兆円を超えると予想されています。
内訳は、医療・医薬産業が35兆円、介護産業が15.2兆円、そして生活産業が51.1兆円となっています。また、シニア層の人口増加の影響は、医療や介護などのシニアにとって重要な業界だけでなく、食品や衣料などの生活必需品を扱う食品・衣料、エンターテインメント、教育関連の業界にも及ぶと考えられています。
これらの資料からも、シニア世代に向けた集客施策の重要性が伝わるでしょう。
シニア世代の種類と特徴
65歳以上のシニアの中でも、健康で時間とお金に余裕がある人から、自力での日常生活が困難な人まで、生活状況は様々です。
それぞれのシニア層の需要や消費行動は全く異なるため、まずは自社がターゲットにするシニア層の特徴を把握することが重要になります。
シニアマーケティング研究所の定義では、65歳のシニア層をさらに4つに分類しています。
それぞれの層の特徴は以下の通りです。
アクティブシニア | ディフェンシブシニア | ギャップシニア | ケアシニア |
・仕事をしている ・仕事や趣味に対して意欲的 ・金銭的余裕があり、趣味や健康に惜しみなくお金を使う | ・仕事をあまりしていない ・健康で自由に活動できる収入は年金がメインであまり多くない | ・一人でもなんとか生活できるが、自立した生活を送るには不安 ・できることが減り、生き生きと生活ができない ・収入は年金がメインであまり多くない | ・日常生活において、家族やヘルパーなどの介護、医療が必要 ・収入は年金がメインであまり多くない |
例えば、アクティブシニア層は旅行や音楽などの余暇活動への出費が多く、ケアシニアは生活必需品や介護、医療などへの出費が多いと考えられます。
また、同じように健康でも、働いているアクティブシニアとディフェンシブシニアとは消費活動にかけられる金額が大きく異なるでしょう。
シニアマーケティングのポイント
シニアマーケティングのポイントは、ターゲットとなるシニアの特性をしっかり理解し、詳細なペルソナ像を描くことです。
まずは現在のシニア世代の特性をしっかりと把握しましょう。
シニアマーケティングの情報収集源を知って活用する媒体を選ぶ
シニアマーケティングを行う際、どんな媒体を活用するのが効果的でしょうか。
「シニアはインターネットを使わないだろう」というイメージを持っていませんか?
総務省の令和2年度「情報通信利用調査」によると、スマートフォンの利用率は、60代で77.9%、70代で59.8%にのぼります。また、インターネットの利用頻度調査では、週に1回以上と日常的にインターネットを利用している人は60代では88.3%、70代では75.9%にのぼります。
実は、シニアのインターネット利用はここ数年で大きく増加しているため、Web広告などのデジタルマーケティングの手法はシニアにも有効と言えます。
一方で、他の世代に比べて、インターネット以外からの情報をより重視するのも事実です。
内閣府が平成26年度に実施した「高齢者の日常生活に関する意識調査」によると、日常生活情報の収集収集源として回答が多かった上位3つは、「テレビ」「新聞(タウン誌を含む)」「家族」でした。
シニアはインターネットをメインで活用しているのではなく、長年慣れ親しんだテレビや新聞をメインの情報源として活用していることが多いことが分かります。つまり、テレビを活用したマスマーケティングや新聞広告などのアナログな手法は依然として有効と言えます。
また、シニアは家族から得られる情報を大切にしているというデータから、ターゲットであるシニア本人だけでなく、その子や孫に対するアプローチを行うことも有効であることが分かります。
マーケティング活動を行うチャネルを絞るのではなく、デジタルやアナログのさまざまな手法をかけあわせて多角的にアプローチをすることが大切になるでしょう。
シニアマーケティングではターゲットの興味・関心を知って訴求内容を考えよう
シニアの心に刺さる広告内容を考えるために、まずはシニア世代の人々の興味・関心を把握しましょう。
内閣府が平成26年度に実施した「高齢者の日常生活に関する意識調査」によると、「今後取り組んでみたい活動」として、「友人や趣味仲間との交際」「旅行」が上位2つに挙がりました。
また、ウォーキングやジョギングへの興味も高く、健康意識の高まりが確認できます。
シニア世代の興味・関心は、先ほど紹介した4分類によっても大きく変わります。
経済状況の項目で「ゆとりあり心配なく暮らしている」と答えたシニアのうち49.2%が「旅行」と回答していたことから、特にアクティブシニアが余暇活動にお金を使うことに意欲的であることが読み取れます。
このように、ターゲットの興味・関心を理解することで、広告の訴求力を高めることができます。
例えば、訴求したい商材が健康食品の場合、旅行・観光の話題に絡めて「何歳になっても旅行を楽しむために」といった内容を伝えることは一つのアイデアになるでしょう。
シニア世代の価値観を理解して刺さるメッセージを打ち出そう
シニア層に対して「あなたはもう高齢なので、この健康食品が必要です」という直接的なメッセージを伝えたとしたら、どんな反応が返ってくるでしょうか。
シニア向けの宿泊予約サービスを提供する株式会社ゆこゆこの調査によると、「敬老の日に『おめでとう』と言われてもうれしくない」と回答した人は43.2%にのぼり、年代が上がるにつれてその割合は増しています。
また、現在のシニア世代の価値観を読みとく上で、彼らがどんな若者時代を過ごしたかも大きなヒントになるでしょう。
現在のシニア世代は、若い頃にバブルを経験しているため、10代後半からファッション、音楽などさまざまな娯楽に触れています。そのような時代背景を考慮すると、現在のシニア世代は「歳をとってもまだ自分は若々しい」「いくつになっても自分の楽しみを追求したい」と考えている人が多いことが理解できるでしょう。
シニアマーケティングの成功事例
ここまで紹介したポイントを抑え、シニアマーケティングに成功している企業の事例を2つ紹介します。
①やずや
「にんにく卵黄」などの健康食品でおなじみのやずや。シニアを中心に絶大な人気と認知度を誇ります。
やずやのシニアマーケティングのポイントは以下の2つです。
- ・デジタル、アナログなどさまざまなチャネルを複合的に活用
- ・インターネットショップをシニアに最適化して活用
テレビCMや紙媒体の広告など、シニアに馴染みのあるチャネルで認知を拡大しつつ、デジタルも活用してネットショップにうまく誘導しています。
また、ネットショップのWebサイトでは、分かりやすいメッセージを大きい文字で伝えていたり、不明点があれば、すぐに問い合わせできるように電話番号が掲載されているなど、ユーザーにとって優しい設計がなされています。
②資生堂「プリオール」
中高年向けの化粧品ブランド「プリオール」は、シニア向けの訴求を上手に行っています。ポイントは、シニアのインサイトを掴んだキャッチコピーとクリエイティブです。
「大人の七難すんなり解決」というキャッチコピーは、「年齢による肌の悩みがある」「歳を重ねてもお年寄り扱いをされたくない」「いつも若々しくありたい」と考えるシニア世代の心を掴みました。
シニアタレントを起用した明るいイメージのクリエイティブは、ターゲットとなるシニアが描く自分自身の理想像を、分かりやすくイメージできるところがポイントでしょう。
まとめ:シニア世代の特徴を把握して効果的なマーケティングを行いましょう
規模が拡大し続けるシニア市場ですが、シニアマーケティングに成功している企業はそれほど多くありません。
まずは自社がターゲットとするシニアのペルソナ像を描き、アナログとデジタルをかけあわせることで、シニア世代の心を掴むマーケティングを行いましょう。
ぜひ、参考にしてみてください。
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