印刷業界は今後どうなる?業界の変遷と現状の課題、将来の展望について解説

印刷

私たちが毎日目にする新聞や書籍、広告などは、人々に情報を伝えるための大切な媒体です。目に見えない「情報」を形ある「モノ」に変換する印刷という技術は、現代社会において必要不可欠なものとなっています。印刷業界はこれまで、広告業界や出版業界など幅広い業界と連携しながら、経済発展を支えてきました。

しかしながら、Webやインターネットの急速な発達により、印刷業界は存続できるかどうかの瀬戸際に立たされており、各企業は生き残りをかけて大きな変化を迫られる時期にあります。

本記事では、印刷業界の現状と課題、今後の展望についてお話しします。

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印刷業とは

毎朝配達されてくる新聞や折り込みのチラシ、商品パッケージや包装など、私たちの身の回りに数多く存在し、生活を支えているのが印刷物であり、これらを生み出しているのが印刷業です。

かつて印刷産業は「新聞・出版」と同じくくりに分類されていましたが、2001年に経済産業省が発足してからは、ゲームソフトや映画・映像産業、音楽業、広告代理業などが属するカテゴリーに分類されるようになりました。

このことは、印刷業が単なる製造業のみならず、生活文化や情報伝達を支える産業としての役割を担うようになったといえます。

印刷業界の変遷

印刷業は製造業に分類されますが、自主的・計画的に製品を供給する自動車メーカーなどと違い、顧客からの依頼があってはじめて製造する「受注型製造業」としての面が強いです。

経済成長で需要が伸びていた時代では、最新の機械を導入して、どこよりも早く、安く印刷すれば仕事が舞い込む状態だったため、「印刷機が稼働した分だけ利益が出る」とまでいう人も中にはいたようです。

しかし、印刷技術の発達と平準化が進んだ現代では、印刷会社間で品質の差は小さくなり、技術面で差別化を図るのは難しくなりました。その結果、発注者の多くは「どこで印刷しても同じ」という認識を持つようになり、発注の決め手は「昔から付き合いがある会社」、あるいは「価格が少しでも安いところ」のどちらかになってしまいます。

このままの状態が続くと、価格競争により業界全体が消耗していくことが危惧されています。そのため、業界では従来の受注型産業から脱却し、自ら受注を創出する「造注型製造業」に転換する動きが高まっています。

印刷業界の課題

印刷業界が直面している課題は大きく3つあります。

  1. 紙媒体の減少とデジタル化への移行
  2. 環境問題への対応
  3. 印刷業以外の特定分野への注力

紙媒体の減少とデジタル化への移行

電子書籍をはじめとするペーパーレス化の推進によって、これまで人々が親しんできた紙媒体は減少しつつあります。公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所によると、2020年の出版市場では紙媒体が1.0%減少し、それに対して電子書籍は28.0%増加したとのことです。

また、DTP(デスクトップパブリッシング)と呼ばれる、コンピュータ上のレイアウトをそのまま印刷できる技術が発達したため、個人でも簡単に印刷ができるようになりました。これまで外注していた印刷物を内製する企業や店舗も増えてきたため、印刷技術に特化して差別化を図るとともに、新たな事業を展開する必要性が出てきたといえます。

環境問題への対応

近年は環境問題への意識の高まりから、「SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標」や「カーボンニュートラル:炭素(カーボン)を主成分とする温室効果ガスの排出を差し引き0(ニュートラル)にする取り組み」といった用語を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

インクや紙は印刷業に欠かせないものですが、インクは石油を、紙は木を原料とするため、印刷による紙資源の浪費やインク生成によるエネルギー消費などは、持続可能な社会の実現を遠ざけるものだという意見もあります。SDGsやカーボンニュートラルなどの実現に向けて、企業は環境問題に対してどのような経営判断のもとで対処していくかという意思決定が迫られています。

そのため印刷業界各社では、デジタル化などによる資源節約への取り組みや、環境に優しい製品作りなどが加速していくでしょう。

印刷業以外の特定分野への注力

中小企業と大企業とでは顧客数や資本に大きな差があり、同じ土俵では競争を勝ち抜くことができません。そのため、純粋な印刷業以外の分野に注力することで生き残る戦略を取る必要があります。

例えば当社では、印刷物の物流代行を展開しています。全国発送に対応するほか、自社工場で印刷物の保管・在庫管理を行っており、茨城県で独自のポジションを築いています。

他にも、印刷業で培った経験が活きる事業は多くあります。

次の章では、印刷会社が新たに展開する事業の一例をご紹介します。

印刷業界の新たな事業形態

印刷会社が展開する事業の具体例として、以下のようなものが挙げられます。

マーケティング

ホームページや動画制作、Web広告などを使ってお客様の集客を支援する事業です。印刷技術などを生かして、より効果的に商品やサービスをアピールするための戦略を顧客に提案していきます。
当社でも、これまで培ったデザインの知見や、マーケティング人材の活用によって、現在この領域を強化しております。

セキュリティ

証券やICカードなど、情報管理サービスを取り扱う事業です。例えば高度なホログラム加工技術や特殊なセキュリティ用紙を用いて印刷することで、商品券の偽造を防止します。

包装/パッケージ

パッケージ素材の選定からデザインまで、総合的な提案を行う事業です。POPやパネル、タペストリーといった店内販促品とあわせて制作することで、コストカットや納期の短縮も期待できます。

印刷業は汎用性が高いため、様々な領域に進出する企業も増えています。近年では、販売促進戦略などを立案する総合的なサービスも提供するなど、広告代理店や経営コンサルタントとしての一面も持ち始めています。

印刷業界の未来

今後、印刷業界の市場が縮小していくことは否めません。
しかし、印刷は広告業界や出版業界など、社会の文化芸術を支えている業界です。紙媒体が減少していくとはいえ、新たな事業形態を展開することで環境の変化に適応し、今後も「情報を広く伝達する」という点で重要な役割を担っていくでしょう。

人が生きるうえで「伝え合う」コミュニケーションがなくなることはありません。紙への印刷にとらわれず、印刷とwebを連動させた情報伝達手段の掛け合わせを提案し、人々の毎日を豊かにすることこそが、印刷業界に身を置く我々の使命だと考えます。

まとめ

印刷業は広告や出版など幅広い分野と関わっており、私たちの生活になくてはならないものとなっています。近年ではWebやインターネットの普及などで紙媒体の需要は減少すると予想されるため、印刷業界は大きな転換期を迎えているといえるでしょう。
実際、広告代理業やコンサルタント業などの事業を展開して、新たな方向に舵を取る会社が増えています。印刷業は汎用性が高く様々な分野に応用できるため、純粋な印刷業以外の事業を展開していくことが、今後も会社が生き残るためのカギを握ります。

事業の形態が変わっても、印刷会社の本質は「情報を広く伝達する」ことにあります。
今後とも情報伝達で人と人とをつなぎ、生活を豊かにしていくことが、印刷会社の使命といえるでしょう。

あけぼの印刷社のモットーは、お客様の「伝えたいをカタチに」することです。
紙への印刷にとらわれず、印刷とWebを連動させたサービスやデジタルメディアの活用など、情報伝達手段の掛け合わせをご提案し「最適な伝え方」を提供します。

あけぼの印刷社では、「伝える」ための手段を最良のものにしていくため、デザインやマーケティングなど、お客様に対して新しい価値を提供できるように日々研鑽しています。

自社商品の魅力の伝え方にお困りの方、もしくは当社のメンバーとして情報の最適な伝え方を一緒に考えたい方、お気軽にお問い合わせください。

パート2では、印刷業界の市場と課題、生き残りをかけた各企業が行う事業の多角化をご紹介しています。

ご興味がある方は、ぜひこちらもご覧ください。

▼印刷業界は今後どうなる?パート②市場変化、課題、事業の多角化事例を徹底解説

https://www.akebono-print.co.jp/2022/10/21/printing-industry-2

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