紙とWebのデザインはどれくらい違う?それぞれの特徴をご紹介

デザイン マーケティング

紙とWebのデザインの違いを知っていますか。同じ「デザイン」という言葉で表現されますが、紙とWebでは仕様や特徴が大きく異なります。今回は紙とWebのデザインの違いをさまざまな観点からご紹介します。

デザイナーの中にも紙媒体が得意な人やWebが得意な人などさまざまですので、違いを意識して接すると、デザイナーがより高いパフォーマンスを発揮できます。
これからデザインの勉強を始める方や社内でデザイナーに依頼することがある方は、ぜひ参考にしてください。

紙とWebのデザイン目的やターゲットの違い

紙とWebのデザインはどちらも「デザイン」という点で共通していますが、それぞれの目的やターゲットは異なります。

そもそも「デザイン」という言葉の意味を説明できる人は少ないのではないでしょうか。デザインとは課題を解決するために適切な形を設計することです。つまり紙・Webどちらのデザインも、課題を解決するという根本的なところでは共通しています。

それでは紙とWebのデザインは目的やターゲットにどのような違いがあるのでしょうか。

デザインの基本についてはこちらの記事をご確認下さい。
▼【デザインの基本を知りたい方必見】印刷会社のデザイナーが解説するデザイン基本原則
https://www.akebono-print.co.jp/2022/09/05/design-basics/

目的の違い

紙のデザインは認知が目的、Webのデザインは販促が目的と言えます。

紙のデザインは保管することができるため、何度も読まれたり手渡しで情報が拡散されたりします。また、紙の素材を加工することで印象に残るデザインを作ることができます。

例えば日本文化に関連する商品を扱う場合、デザインに和紙を利用すると強く印象に残ります。

一方で紙の場合、顧客はワンクリックで商品を購入することができず、以下のような行動をしなければなりません。

・QRコードを読み取る
・WebのURLを入力する
・お店に足を運ぶ
・電話をする

そのため、紙のデザインはWebデザインに比べ、購買につなげるハードルが高いと言えます。
Webデザインの場合、顧客はお店に足を運んだり電話をしたりせずに商品を購入できますが、制作物に触れることができないので印象に残りづらいです。

これらの特徴から、紙のデザインは認知、Webのデザインは販促を目的とします。

ターゲットの違い

参照元:公共財団法人 新聞通信調査会「第13回メディアに関する全国世論調査(2020年)」

紙のデザインの代表例として新聞の折り込みチラシを考えてみましょう。
公共財団法人 新聞通信調査会「第13回メディアに関する全国世論調査(2020年)」によると、70代以上では82.9%、60代では77.7%が新聞を購読しており、一方で30代の購読率は32.9%となっています。

この調査からわかるように若い世代よりもシニア層で新聞が購読されているため、チラシのターゲットはシニア層となります。

参照元:情報通信統計データベース

総務省の「情報通信利用調査」によると、インターネットを週に1回以上利用している人は60代では88.3%、70代では75.9%にのぼり、20代や30代でも90%以上が日常的にインターネットを利用しています。

これらの情報をまとめると、紙のデザインのターゲットはシニア層になり、Webのデザインのターゲットは全年代になります。

▼関連「【シニアマーケティング】市場規模100兆円超え!?高齢者・シニア世代に有効な集客戦略とは」
https://www.akebono-print.co.jp/2022/02/24/senior-marketing/

紙とWebのデザインのサイズの違い

紙とWebはサイズが違うため、伝えられる情報量、文字数や余白の大きさなどが変わります。

紙のデザインはサイズに制約があります。A4やB4など、紙のサイズにあわせたデザインを作らなければなりません。決められたサイズで情報を伝えるために、どこにどのような大きさで何を記載するのかを考えなければなりません。

一方でWebの場合は制約がありません。スクロールできるので、縦の長さは無限です。スマホ画面のデザインを採用すると、サイズがデバイスにあわせて自動で変わります。重要な情報も細かな情報も1枚のページに記載できます。

紙とWebのデザインの色の違い

紙とWebは使用する色の形式が異なります。
紙はCMYK形式です。CMYKとはシアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)の色材の三原色に黒(Key Plate)を加えて色を再現する方法です。

色を混ぜるにつれて暗い色になる特徴があります。用紙や印刷方法により制作物に色味の違いが出てくるため、印刷後の色の確認と調整が必要です。

WebはRGB形式です。RGBとは赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の光の三原色を混ぜて色を再現する方法です。
色を混ぜると明るい色になる特徴があります。

RGBはCMYKと比べ多くの色を再現することができますが、確認するデバイスにより色味が変わることがあるので注意が必要です。

紙とWebのデザインの修正プロセスの違い

紙のデザインの場合、誤字などはデータの段階で、サイズ感や色味は印刷してから確認します。印刷するとデータ段階と色味が異なり、修正が必要になることがあります。顧客の手元に制作物が届くと修正ができないため、誤植がないか何度も確認しなければなりません。

Webのデザインの場合、カスタマーに公開した後の情報もすぐに修正できます。ただし修正にはコーディングが必要になる場合もあるので注意が必要です。デバイスにより表示される色味、サイズが変わるのでさまざまなデバイスで確認しましょう。

例えばパソコンでは、適切な横幅がスマートフォンでは狭くなることがあります。スマートフォンでも機種ごとに画面サイズが違うため、すべてのデバイスで統一したデザインを再現することはできません。

紙とWebのデザインの動的か静的かの違い

Webのデザインは動的に制作することができます。

・動画が自動再生される
・ボタンクリックで遷移
・アコーディオンパネルで情報を折りたたむ
・カルーセルバナーを設置する

動的なデザインで工夫を凝らし、顧客がつい見てしまうサイトにしましょう。

紙のデザインは動的にできませんが、最近ではAR(Augmented Reality)を使用したものを目にします。
AR(Augmented Reality)は日本語で「拡張現実」です。ARマーカーを反映させたデザインにスマートフォンカメラをかざすと、画面の中でコンテンツが表示されます。

世界最大の家具メーカーのIKEAではARを利用した家具の設置シミュレーションがあります。ARやQRを利用して顧客を惹きつけるものを制作しましょう。

参照元:IKEA「Say Hej to IKEA Place

紙とWebのクロスメディアで相乗効果が期待できる

さまざまな媒体を活用して一つの商品・サービスの販売促進や広告宣伝を行うことを「クロスメディア」と呼びます。
クロスメディアの一例として、紙とWebを同時に使って集客を行うメリットや事例をご紹介します。

紙とWebのクロスメディアのメリット

紙とWebを用いたクロスメディアには以下のようなメリットがあります。

・それぞれの媒体の特徴を活かすことができる
・多くの顧客にアプローチすることができる
・一人の顧客に複数回アプローチできる

それぞれの媒体の特徴を活かすことができる
紙とWebの両方を利用するとそれぞれの強みを活かすことができます。
紙の場合、顧客は制作物に触れることができるので記憶に残りやすく、シニア層に届きやすいです。Webの場合、動的な工夫や閲覧数や商品・サービスの購入率を数値化ができます。それぞれの媒体の強みを活かすことで、商品・サービスの認知度や購入率を効率的に上げることができます。

多くの顧客にアプローチできる
紙とWebの両方を使うと、より多くの顧客に商品・サービスの情報を届けることができます。
例えば普段はチラシをみない人にはWebを、普段Webをみない人にはチラシを使い、さまざまな層へアプローチしましょう。

一人の顧客に複数回アプローチできる

参照元:アメリカ格安語学留学サイト「エビングハウスの忘却曲線で分かる、最適な復習のタイミング」

エビングハウスの忘却曲線をご存知でしょうか。
エビングハウスの忘却曲線とはドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスにより示された時間の経過による人の記憶の保持率です。

これによると1日後の記憶の保持率は33%、31日後には21%です。つまり顧客に商品・サービスの情報を届けても、情報の多くはすぐに忘れられてしまいま
す。

紙とWebの両方を使い一人の顧客に複数回アプローチすることで、商品・サービスが記憶に残りやすくなります。

ただし一人の顧客に頻繁に同じ情報を提供し続けると、しつこいと判断されブランドイメージを傷つける恐れがあるため注意が必要です。

紙とWebのクロスメディアの事例

当社は茨城県ひたちなか市で自動車整備・販売を行う小野瀬自動車株式会社様の集客サポートを行いました。

・若年層の方にも小野瀬自動車を知ってほしい
・チラシのポスティングを行ったが来店に繋がっているのか分からない
・Web広告を自社で試したものの運用の仕方が分からず頓挫してしまった
・費用対効果の良い集客方法がないか探している

上記のようなお悩みを解決するために、当社で企画立案を行い、チラシやWebを活用した施策を行いました。
具体的な施策は以下の通りです。

・チラシのポスティング
・Youtube広告・Facebook(Instagram)広告による認知拡大
・リスティング広告による顕在層(車を探して検索を行っている方々)へのリーチ
・リマーケティング広告による追客

今回、2週間にわたりWeb広告やポスティングを行った結果、前年同月比250%の制約件数となりました。
2019年11月には2件だった自動車の販売数はコロナ禍になり2020年8月〜10月までの3か月間0件になりましたが、今回の施策で5件の成約を獲得しました。

▼関連記事「【茨城県ひたちなか市】小野瀬自動車様「チラシ×Web広告」
https://www.akebono-print.co.jp/case/onose-motors/

まとめ:紙とWebのデザインの違いを理解し相乗効果を生みだそう

これからデザイナーを目指す方、社内でデザイナーと関わることがある方は紙とWebのデザインの特徴の違いを知っておきましょう。基本的な知識があれば、社内デザイナーとのコミュニケーションが円滑に進みます。

集客においてもオンラインとオフラインの両方が必要になるため、紙とWebのデザインができるデザイナーは注目されます。紙とWebのデザインを組み合わせて効率的なマーケティングを行いましょう。

当社はチラシやダイレクトメールなどの紙のデザイン・印刷だけでなく、ホームページ制作や広告運用などWebに関するマーケティング支援も行っていますので、お気軽にご相談ください。

当社のサービス内容はこちらをご覧ください。

https://www.akebono-print.co.jp/service/


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