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本シリーズでは、マーケティング担当になったら最低限知っておきたいフレームワークをピックアップして考え方をご紹介していきます。
第10弾は「MECE(ミーシー)」をピックアップします。
「上司から『MECEに考えてくれ』と言われたけど、MECEって何?」
「マーケティング施策をどう改善しようか考えているけど、いまいちしっくりこない…」
こんなことを思った経験はありませんか?
MECEは、マーケターが市場分析をしたり施策を考えたりする上でとても重要なロジカルシンキングのフレームワークです。
思考力を鍛えてマーケターとしてレベルアップしたい方は、本記事を参考にMECEを日々の仕事に取り入れていきましょう。
もくじ
MECEとは?
MECEとは、以下の4つの単語の頭文字を取った、ロジカルシンキングの基礎となるフレームワークです。
・Mutually:互いに、相互に
・Exclusive:重複せず、被らず
・Collectively:まとめて、全体に
・Exhaustive:漏れなく
これらをまとめて日本語にすると、「漏れなく、ダブりなく」という意味になります。
ロジカルシンキング(論理的思考法)とは、物事を体系的に整理し、矛盾や飛躍なく筋道を立てて考えることです。
筋道を立てるには、そもそも要素を網羅的に把握している必要があります。
そのため、MECEは論理的に思考するための第一歩と言えます。
MECEを事例とともに理解する
「漏れなくダブりなく」とは具体的にどういうことか、MECE”ではない”例をもとに考えるとイメージしやすいはずです。
MECEではない場合は、「漏れはあるがダブりはない」「漏れはないがダブりがある」「漏れもダブりもある」の3つに分類できます。
それぞれの例に対して、どうすればMECEになるのか考えながら読んでみましょう。
漏れはあるがダブりはない例
ある商品を購入した人を年代別で分類する際、10代、20代、30代の3種類に分類したとします。
この場合、重複はありませんが、10歳未満、40代以上が漏れています。
漏れはないがダブりはある例
商品を購入した人を、男性、女性、20歳以上、20歳未満の4種類に分類しようとします。
すると、この分類に漏れる人はいませんが、重複は発生しています。
漏れもダブりもある例
商品を購入した20歳未満の人たちを、さらに中学生、高校生、予備校生、大学生に分類したとします。
この場合、小学生や社会人などは漏れており、予備校生と中学生、高校生では重複が発生しています。
MECEはなぜ重要なのか?
そもそも、なぜMECEに考える必要があるのでしょうか。
あるECサイトで売上が伸び悩んでいたとします。
伸び悩みの原因を見つけたい場合、どのように考えるでしょうか?
・サイトへの訪問者数
・購入率
・購入単価
・商品の質
︙
など、さまざまな原因が思い浮かぶでしょう。
しかし思いつくままに挙げていくと、漏れが発生しているかもしれません。
そこで、上の図のようにMECEに考えることで正しい原因を特定し、改善へのアクションを取ることができるのです。
ここでは、「売上」という大枠を定め、それを構成する要素を下流に向かって因数分解していくことで、売上を構成する要素をMECEに挙げることができています。
マーケティングは課題解決の繰り返しです。
もし課題を分解する際、要素に漏れがあれば正しい解決策にたどり着くことはできず、重複があれば同じ検討を繰り返すことになり非効率です。
そのため、MECEに課題を分解していくことは、効果的なマーケティング施策を考えるための第一歩と言えます。
MECEに考える手法:2つのアプローチ
MECEに考える手法として、2つの異なるアプローチを説明します。
検討する事象の特徴にあわせて、どちらの手法で思考するのか決めましょう。
トップダウンアプローチ
全体をみて大枠を定め、そこに要素を当てはめていく考え方です。
事象の全体像が明確な場合、分類の仕方が事前に想定できる場合に有効なアプローチです。
一方で、全体像がわかっておらず、ゼロから検討をする必要があるような事象においてはトップダウンアプローチで考えるのは難しいでしょう。
ボトムアップアプローチ
思い浮かぶ要素をブレインストーミング的に挙げていき、それらをグルーピングすることで全体像を描いていく考え方です。
事象の全体像や分類の仕方が明確でない場合に有効なアプローチです。
未知の領域でも思考を始められるというメリットがある一方で、要素の洗い出しが甘いと漏れが生じたり、分類の仕方によってはダブりが生じたりしやすいというデメリットもあります。
MECEに考える手法:4つの切り口
MECEの手法は、トップダウン・ボトムアップといったアプローチ方法のほかにも、要素の分解方法によっても4種類に分けることができます。
やみくもに分類を始める前に、検討する事象はどの分解方法が最も適切か考えてみましょう。
要素分解
要素を全て足し合わせると全体像になるような分解の方法です。全体像を定め、そこから各要素に分解していきます。
足し算型、積み上げ型とも呼ばれています。
因数分解
分析したい対象を計算式で表現し、各要素に分解していく方法です。足し算に限らず、掛け算、引き算、割り算など全ての計算方法で分解することができます。
例えば、「売上額=顧客数×顧客単価」のような分解が挙げられます。
また、先ほど挙げたECサイトの売上の例は、因数分解をしたMECEの事例です。
時系列・ステップ分け
時系列やものごとが進むステップによって要素を分解する方法です。
例えば、顧客の購買行動を「認知→興味・関心→比較・検討→購買→発信」のようにステップごとに分解することなどが挙げられます。
対照概念
分析対象である事柄に対して、相反する概念を挙げて分解する方法です。
例えば、「メリット、デメリット」「質、量」といった分解の仕方が挙げられます。
MECEな思考法を身につけるには?
思考法は、一度きりのインプットですぐに実践できるようになるものではありません。
日頃から意識的にMECEに考える機会を作り、練習することが大切です。
仕事においてはもちろん、日常においても「ダイエットが続かない理由」や「1時間早く起きるにはどうしたらいいか」などの身近な事柄について、MECEに考えてみるといいかもしれません。
また、MECEに考えた内容を仕事の上司や同僚、身近な人に見てもらいフィードバックをしてもらうのも、思考法を自分のものにするための近道です。
MECEを活用してマーケティングフレームワークを考えよう
マーケティングフレームワークを考える際にMECEな思考法が役立つ例を3つ紹介します。
MECEな思考法を身につけたら、マーケティングの戦略や施策を考える際に実践してみましょう。
4P分析
4P分析とは、自社商品のマーケティング戦略を考えるためのフレームワークです。
自社商品をProduct(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(プロモーション)の4つに要素分解して戦略を考えます。
いきなり「どんな販売戦略にしよう?」と考え始めるのではなく、4つの要素に情報を分解することで、具体的で一貫した戦略を考えることができます。
SWOT分析
SWOT分析分析とは、外部環境と内部環境から企業や事業の現状を把握するためのフレームワークです。
Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つに要素分解して分析を行います。
事業の分析をする際は、競合や法律、自社商品の強みや弱みなど、考慮する要素が多いため、まずMECEに分類することで考えやすくなります。
また、考慮する要素が多いからこそ、分類があることで漏れなく要素を挙げきることができるでしょう。
AISAS
AISASとは、顧客が商品を認知してから購買、拡散にいたるまでの購買行動プロセスのことです。
一連の購買行動を、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(購買)→ Share(情報共有)のステップに分解したうえでマーケティング施策を考えます。
ステップごとに分解することで、それぞれの顧客の心理に最適な施策を実行することができ、より効果的に売上につなげることができます。
まとめ:MECEな思考法を身につけて、ワンランク上のマーケターを目指そう
MECEは、事象を構成する要素を「漏れなく、ダブりなく」捉える思考法です。
MECEな思考法は、4P分析などの戦略にかかわるマーケティングフレームワークから、日々のマーケティングにおける小さなPDCAまで、さまざまな場面で役立ちます。
MECEな思考法を身につけることで、より本質的で効果のあるマーケティングを実践しましょう。
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