4P分析とは?マーケティングの基本フレームワークを目的から企業事例まで解説

マーケティング

本シリーズでは、マーケティング担当になったら最低限知っておきたいフレームワークをピックアップして考え方をご紹介していきます。

第8弾は「4P分析」をピックアップします。

第1弾から順に読みたい方はこちらから▼
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第1弾:PEST分析
https://www.akebono-print.co.jp/2021/07/pest-analysis/

第2弾:3C分析
https://www.akebono-print.co.jp/2021/07/3c-analysis/

第3弾:5フォース分析
https://www.akebono-print.co.jp/2021/09/5force-analysis/

第4弾:SWOT分析
https://www.akebono-print.co.jp/2021/09/swot-analysis/

第5弾:AIDMA
https://www.akebono-print.co.jp/2021/10/aidma/

第6弾:AISAS
https://www.akebono-print.co.jp/2021/10/27/aisas/

第7弾:STP分析
https://www.akebono-print.co.jp/2021/11/16/stp-analysis/

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「マーケティング施策って、どうやって考えればいいの?」
「まずなにから始めればいいの?」
会社のマーケティング担当になったら、まずそんな悩みにぶつかるかもしれません。

そこで本記事では、マーケティング施策の立案において基本的なフレームワークである「4P分析」について、ポイントから事例まで解説します。
まず4P分析の考え方をしっかり理解したうえで、効果的に売上を増加させるマーケティング施策を考えましょう。

4P分析とは?

4P分析とは、マーケティング施策を考える際に使うフレームワークです。
1960年に提唱されてから現在にいたるまで多くの企業で活用されている、基本的で汎用性の高いフレームワークです。

4Pとは、
 ・Product(製品)
 ・Price(価格)
 ・Place(流通)
 ・Promotion(販促)

の4つの要素の頭文字を取っています。
各要素のポイントを解説する前に、なぜ4P分析を行うべきなのか解説します。

マーケティングにおける4P分析の目的と位置付け

なにもないところからマーケティング施策を考えることはできません。
まず外部環境の分析や競合の定義によって狙う市場を見出します。ここでは、以前ご紹介したPEST分析5フォース分析が活躍します。
次に、どのような性質やニーズを持った顧客をターゲットにするか、競合とどのような差別化をするかといった戦略を定めます。
最後に、その戦略をもとに適切な施策を考えます。

STP分析から導き出した顧客ターゲットや競合とのポジショニングに基づいて、顧客にどのように価値を届けるか考えることが4P分析の目的です。
まずはしっかりと市場環境分析、マーケティング戦略立案をしたうえで、4P分析を用いてマーケテイング施策を考えていきましょう。

4P分析の各要素のポイント

Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)のそれぞれについて、分析のポイントを解説します。

Product(製品)のポイント

Product(製品)のステップでは、「何を売るか」ということを考えます。
例えば一口にバッグと言っても、リーズナブルなトートバッグと高級ブランドバッグでは、持っている価値が異なりますよね。
「何を売るか」とは、「顧客にどのような価値を届けるか」ということです。例えば、以下の3つの種類の価値について考えてみましょう。

 ・基本価値:機能や効能など
 ・情報価値:パッケージやデザイン
 ・周辺価値:その他のストーリー

トートバッグは、容量や軽さといった「基本価値」を顧客のニーズに沿って追求していると考えられます。一方、高級ブランドバッグは「情報価値」を追求していたり、ブランド品であるという「周辺価値」を売りにしていると考えられます。

Price(価格)のポイント

Price(価格)のステップでは、「いくらで売るか」を考えます。
顧客心理や競合商品の価格などのさまざまな要素を考えると、価格設定は難しいですよね。
「いくらで売るか」を考える際は、以下の3つのポイントを意識します。

 ・価格:いくらで売れているか?
 ・競合比較:価格の優位性はあるか?
 ・原価率:どれくらい儲けが出るか?

競合よりも安くすれば原価率が上がって利益は減ってしまうように、3つはそれぞれの兼ね合いで成立しています。
また、利益獲得を目的に高価格にするか、市場でのシェア獲得を目的に低価格にするかといったように、優先したい目的に沿って価格設定を変えることもできるでしょう。

Place(流通)のポイント

Place(流通)のステップでは、商品を「どう届けるか」を考えます。
ここでは以下の3つのポイントを意識します。

 ・店舗立地:どのような立地に出店しているか?
 ・店舗特徴:体験にどのような特徴があるか?
 ・物流特徴:特有の物流網を持っているか?

「店舗」というワードがありますが、店舗販売だけでなくEC販売でも同じように考えられます。
例えば、「MEDULLA」というオーダーメイドシャンプーのECでは、サイト上でいくつかの質問に答えることで自分にぴったりのシャンプーをレコメンドしてくれます。これは、特徴的な店舗体験を提供していると言えます。

また、自社商品の特徴や顧客の行動特性によって、効果的な商品の流通経路は異なります。
例えば、「ユニクロ」であれば大型のショッピングモールに、高級ファッションブランドであれば銀座や表参道に路面店を出店するのが最適です。

Promotion(販促)のポイント

Promotion(販促)のステップでは、商品を「どう伝えるか」を考えます。
ここでのポイントは細かく考えればたくさんありますが、大まかに以下の3つを意識しましょう。

 ・メディア:どんな媒体に広告を出しているか?
 ・メッセージ:広告でどんなメッセージを伝えているか?
 ・予算と量:どれくらいの規模で広告を打っているか?

例えば「ユニクロ」の広告は、テレビや新聞広告など、とにかく多くの人の目に触れる場所に出ていて、商品のビジュアルだけでなく価格も一緒に載せていることが多いですよね。
一方で、高級ファッションブランドの広告は、銀座や表参道などの限られた場所で目にします。また、価格が広告に載っていることはほぼなく、美しく洗練された写真とブランドロゴで視覚的にアピールしているものが多いです。

このように、他の要素と同じく、自社商品やターゲット顧客の特性にあわせて「どう伝えるか」を設計しましょう。

4P分析を活用するときのポイント

4P分析を使ってマーケティング施策を立案するにあたって、注意すべきポイントを解説します。

4つの要素がしっかり連動しているか?

4P分析を行う際に重要なのは、4つの要素に関する施策が連動していることです。これは実は難しいポイントでもあります。

例えば、素材や製造方法にこだわっている老舗のかばん屋さんの場合、Product(製品)においては商品の歴史やストーリー性といった周辺価値に特化しています。しかし、Place(流通)においてECはAmazonでしか販売していなかったり、Promotion(販促)において価格と商品写真だけの広告を出していたりしたら、せっかくの製品の独自価値が顧客に伝わらず、選んでもらえないでしょう。
このことからもわかるように、4P分析の4つの要素はそれぞれ連動させる必要があるのです。

4P分析の前段階であるマーケティング戦略立案(STP分析)において、ターゲット顧客や競合とのポジショニングをしっかり定義できていれば、自ずと4P分析の4つの要素を連動させることができるはずです。
まずはしっかりとした戦略の土台を作りましょう。

一方で、企業の組織の都合上、マーケティング担当者がPromotion(販促)の施策にしか権限がなく、それ以外の3つの要素の施策との連動性を持たせづらいという課題もよく見受けられます。
この場合、組織の縦割りに縛られずに、マーケティング担当だけでなく各部署と連携して4P分析を行うことが大切です。

顧客目線の施策になっているか?

4P分析の要素は、「何を売るか」「いくらで売るか」「どう届けるか」「どう伝えるか」の4つですが、これらはいずれも売る側の目線ですよね。

4P分析では、売り手視点のそれぞれの要素を買い手視点に変換することも大切です。それぞれの要素は、以下のように買い手視点に変換できます。

売り手がいくら「この価値を届けたい」と思っていても、その価値を顧客が求めていなければ製品は売れません。
売り手視点だけでなく常に買い手視点を忘れずに、4P分析を実践しましょう。

4P分析の成功事例

今回は、世界的コーヒーチェーンの「スターバックス」の4P分析を考えてみましょう。

Product:質の高いドリンクと「サードプレイス」

スターバックスが顧客に提供している価値は、まず第一にコーヒーなどのドリンクにあります。しかし、スターバックスが提供するのはただのドリンクではありません。
豆やドリップにこだわったコーヒーはコーヒー好きのニーズを掴んでいるほか、日本ならではの抹茶のドリンクやショートサイズの展開といったように、地域ごとのニーズにあわせた商品展開も独自の特徴です。

さらに、スターバックスが提供しているのはドリンクだけではありません。
スターバックスのコンセプトは「サードプレイス」。すなわち、居心地のいい「居場所」としての価値も提供しているのです。
これは他のカフェや飲食店と差別化されるProductの特徴です。

Price:質を担保しつつ、高すぎない価格

スターバックスのドリンクは、他のカフェやコンビニに比べて少し高めな価格設定にもかかわらず、売れ続けているのはなぜでしょうか。
Productのステップで分析した通り、ドリンクの質が高く、居場所としての価値まで提供しているように、競合と差別化できているからこそ多少高くても売れるのです。
逆に、高めの価格設定にすることで、「質が高い」「ちょっとリッチ」といったイメージを顧客に持ってもらうこともできます。

Place:顧客の量にも質にもこだわった店舗立地

スターバックスの店舗は、主要な駅周辺やショッピングモールなどのいたるところで見かけますよね。人の往来が多い場所に多店舗展開をすることで、多くの顧客を獲得できます。

一方で、庶民的なエリアでスターバックスの店舗を見かけることはほぼありません。高品質で高価格な製品は、庶民層とはマッチしないためです。
庶民的なエリアでは商品が売れないだけではなく、スターバックスが狙っていない客層が増えることで「サードプレイスとしての居心地」という製品価値が損なわれる可能性もあります。
顧客の「質」にもこだわって出店していることがわかります。

Promotion:口コミと圧倒的なブランド力

スターバックスは、広告宣伝をほとんど行っていません。必要がないからです。
ここまで分析したように4P分析の全ての要素が連動しているからこそ、「高品質」「居心地がいい」「行きやすい」といったブランドイメージが顧客の中に明確にあり、わざわざ宣伝をしなくても売れ続けているのです。

そのようなブランド力があるからこそ口コミも広がりやすく、それが効果的な宣伝になっています。実際にInstagram上で、「#スターバックス」が付いた投稿は数百万件にものぼります。

まとめ:4P分析で売れるマーケティング施策を考えよう

4P分析のフレームワークを活用することで、さまざまな面からターゲット顧客の心をつかむマーケティング施策を考えることができます。
製品特性や設定した顧客ターゲットに基づいて、4つの要素の連動性に注意しながら自社製品の4P分析をしてみましょう。

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