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スマートフォンの普及によりインターネット人口が増え、Web広告の市場が伸び続けています。電通が公表した「2019年日本の広告費」によれば、2019年のインターネット広告費は前年比19.7%増の2兆1048億円で、テレビメディア(1兆861億円)を超える広告媒体となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い小売業のEC化が進み、従来チラシやDMに使われていた広告費がインターネット広告に流れていくと考えると、この傾向は今後も続くと思われます。
印刷会社である弊社でも、既存のお客様から「Web広告を始めたいが、どうしたらよいか」といったご相談を月に数件、定期的に頂きます。
その中でも意外と多いのが「Youtube広告をはじめてみたい」といったお声です。
お話を聞くとどうやら、
- ・競合他社が広告を出しているのを見た
- ・コロナの影響で減ってしまった来店数を増やしたい
- ・とにかく売上を改善したい
といった理由で検討されているようなのですが、Youtube広告が売上に直結することは稀で、どちらかというと認知やブランディング向きの媒体です。
率直に言えば、「他社がやっているから」「何かやらなきゃいけないから」という理由で媒体を選んでも、期待する成果を得ることはできません。
掛けた予算や時間を無駄にしないためにも、
- ①広告配信の目的
- ②情報を届けたいターゲット
- ③期待値と予算
の3点について考慮した上で、適切な媒体を選ぶ必要があります。
本記事では、これらの要素をどのように考えるべきか、解説いたします。
新たにWeb広告を始めようと考えている方、以前試してみたが失敗してしまったという方は、配信にあたって参考にしてみてください。
Web広告を始める前に考えるべき3つのポイント
①広告配信の目的を明らかにする
まず考えなければならないのが配信の目的です。商品・サービスの認知、ホームページの訪問者数増加、ECサイトでの商品購入、資料請求・お問い合わせ、Webでの来店予約…etc。何を成果と見なすのかを決めましょう。
広告にはそれぞれの持つ守備範囲があり、その範囲を超えた目的で利用しても、成果に結びつかないか、成果が出たとしても費用対効果が悪いものとなります。
上の図*は広告を届けたい人、つまり「ターゲット」の興味の度合い(ステージ)と、そのターゲットにアクションを起こさせるためのWeb広告の種類をまとめたものです。
商品を欲しがっている顕在層にアプローチする手段としては、ポータルサイトやリスティング広告など比較検討者が利用する媒体に広告を掲載する方が、広く認知を取りに行く媒体を使うよりも効果的と言えます。
もちろん、媒体によっては競合他社が多くクリック単価や表示単価が高騰しているケースもあり、代替手段として他の媒体を検討することはあるでしょう。
しかしながら、ターゲットのステージを無視して媒体を選ぶのは失敗のもとです。
さらに言えば、最初から手段をWeb広告に限定する必要もありません。顕在層へのアプローチ手段としてDM(ダイレクトメール)を使ったり、潜在層に対して新聞折込やポスティングのチラシで認知したりすることも考えられます。業界や商材によっては、競合がオフラインの施策を行っておらず、かえって目立つ可能性もあります。
繰り返しになりますが、認知・問い合わせ(比較検討)・購買…など、どのような成果を得たいのかを明確にし、その目的にあった広告媒体や施策を選ぶことが肝要です。
*Google広告やFacebook広告など各種運用型広告では「認知拡大」や「店舗への誘導」「購買」といった目的に合わせて広告を作成できるようになっているため、上記の図が必ずしも正しい訳ではありません。商品や競合の出稿状況により適切な媒体は異なりますので、広告の選定に悩まれましたらご相談ください。
②情報を届けたいターゲットを定める
次に考えるべきは、広告を配信したい対象です。魚のいない池に釣り糸を垂らしても釣果を得られないように、ターゲットとなる人がいない・少ない場所に広告を掲載しても期待できる成果は少なくなります。
そのためSNS広告であれば、Facebook・Instagram・LINE・Twitterなど媒体別のユーザー属性を把握し、配信先を決める必要があります。
また普段SNSを使わない人がターゲットになる場合は、GoogleやYahoo!などの検索結果に表示されるリスティング広告や、情報サイトやブログなどの広告掲載枠に出稿するディスプレイ広告といった手段もあります。
有名な媒体ということでYoutube広告やFacebook広告を最初に検討する方も多いのですが、自社の商品・サービスを購入する人がどのような媒体で情報収集を行っているかを考えた上で広告を選びましょう。
ターゲットとなるユーザーが多く利用しているからといって、成果に直結する訳ではなく、そのターゲットに刺さるクリエイティブ(バナー画像や動画、キャッチコピー)や、①で述べたターゲットのステージを意識した広告の配信設定が不可欠です。
なかには「広告を始めればすぐにお問い合わせが増える」というWeb広告に対する過剰な期待を持っている方がいらっしゃいますが、クリエイティブや広告配信設定のチューニングなくして成果を出すことは難しいと言えます。
結果を元に分析・改善を繰り返し、最適な組み合わせを模索することがWeb広告で成果を上げる王道手段なのです。
期待値と予算
先に「Web広告に対する過剰な期待」と書きましたが、Web広告をこれからはじめようという方の中には、2~3万円の予算を投じれば、すぐに売上が増えると考えている方も少なくありません。
しかしながら現実は厳しく、そのような結果になることは極めて稀です。
数万円の予算を掛けてもお問い合わせゼロ、商品の購入ゼロ、といった結果になる可能性が高いと言えます。
その要因として考えられるのは、既に述べた通り、目的に合った広告媒体を選んでいない、ターゲットと広告のクリエイティブや配信設定がズレてしまっている、の2点です。
もし適切な媒体を選んでおり、分析と改善を重ね、ターゲットと配信設定のチューニングをしているにも関わらず成果が出ていないとしたら、Web広告からの遷移先であるランディングページやお問い合わせページに、十分な訪問者が集まっていない可能性があります。
例えば、広告のクリック単価が200円、お問い合わせページに訪問した人が、お問い合わせを完了する確率が0.5%だとします。
その場合、予算3万円でお問い合わせを何件獲得できるでしょうか?
お問い合わせの期待値は0.75件。つまり1件にも満たない計算となります。
これでは成果が得られなくてもおかしくはありません。
逆に、5件のお問い合わせを獲得したい場合には、どれくらいの予算が必要となるのでしょうか?計算してみましょう。クリック単価やお問い合わせ完了率はそのままと仮定します。
5件の問い合わせを獲得するためには20万円の広告予算が必要であることがわかりました。つまり1件あたりの獲得コストは4万円です。
広告を始める前にこのような期待値のシミュレーション、期待する成果を得るために要する予算の計算をしておくと、「そろそろお問い合わせが1件獲得できるはずなのであと1万円だけ予算を追加しよう」「想定よりもお問い合わせの完了率が低いのでページの改善をしよう」といったように、広告の適切な運用が可能となります。
なお、広告のクリック単価やお問い合わせの完了率は、業界や扱っている商品(競合の出稿状況や配信設定など)に応じて変わります。
おおよその金額・割合は、他社事例を参考に当てはめ、実際に運用する中で目安となる値を明らかにすると良いでしょう。
Youtube広告が適切な手段か、今一度見直そう
「競合他社が出しているから」「有名だから・自分が知っているから」といった理由でYoutube広告やFacebook広告など、媒体を選んでいませんでしたか?
期待する成果を得るためには、①目的を明確にし、それを達成するために必要な媒体を選ぶこと、②ターゲットを定めてその人の情報収集手段をもとに媒体を絞り、適切なクリエイティブや配信設定をチューニングすること、③成果を出すのに必要な予算を確保すること、の3点について考えなければなりません。
Youtube広告は、幅広い年代層が利用する動画共有サービスに動画広告を配信できるため、認知拡大を目的とする場合には検討すべき媒体です。
ただし、配信設定や動画クリエイティブをターゲットに合わせて調整し、現実的な期待値のシミュレーションを行わずに「とりあえず」で始めても、期待する成果は得られないことを肝に銘じておいてください。
▼Web広告の運用に関するご相談はこちらから
https://www.akebono-print.co.jp/contact/